(株)斎藤模型

『我、思う故に我在り』 自分の存在している証というものは、
自分が考えていることそのものである。
日々、思い、感じたことを言語化するということは、
自分を客観的に見るという意味でおもしろいのではなかろうか。
そして、それがある程度は公的な場であるということで、より整理されていくのではないか。
自己満足的で、自己処理的なブログというメディアに参入する上での宣言文。
平常心をモットーに生きる。
連絡先は saitomokei@hotmail.co.jp
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不揃いの3ドル
一時間に一本あるかないかのバスがやってくる。
田舎の停留所は寒いだけで 何もない。
運転手は遅れていることなんて 一向に気にしてない様子。
運賃は3ドル。僕は運の悪いことに20ドル札しか細かいのがなかった。

「すみませんが、お釣りありますか?」
「ないよ。その辺で両替してきな。」
「向こう二、三マイルは、お店なんかないし 第一、待っててくれないでしょ」
「そんなこと、知らないよ。」
「でも、このバス逃したら、次いつくるかわからんし あーだ、こーだ」
「…」無視し始める運転手。

そこで、僕は 乗客のみんなから両替が出来る人を探し始めた。

「誰か この中で20ドルくずせる方いますか?」
すると、同じく旅行者風のおじさんが
「うん、僕もさっき使っちゃったからな、
 でも、コインならあるよ。」
さらに、横に居たクールなお姉さんが
「あなた、旅行中でしょ。いくらあっても足りないんだから
 20ドルはとっておきなさいよ。」
と、1ドルを差し出し、僕の20ドル札をしまわせる。
奥のおばさんも 言葉こそないけどコインをくれる。
無表情だけど、コインをポケットから探す姿は 愛嬌たっぷり。

こうして、みんなから集められた3ドルは
しわしわの1ドル札、25セント、5セントコインの寄せ集め。
この不揃いの3ドルが、僕にはとても輝いて見えました。

僕は、誇らしい気持ちで 料金を支払いました。
相変わらず、運転手は興味なさげに 合計金額だけ確かめていました。


世界には 本当にいい人と悪い人がしっかりいる。
そして きっちり両方の人に ぶちあたる。
悪いことは書いてても しょうがないので
少し 楽しかったことを書いてみました。
23:59 | 旅(北米編) | comments(6) | -| - |
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コメント
日本じゃ今学校でのいじめが大きな問題になってる、
そいつらにこういう体験をさせてみたいよ。
2006/11/19 3:04 AM by まてぃ
いつもながら、最高の文章です♪
いい話で感動しました
2006/11/16 11:53 PM by ひでちゃん
世界旅行始まってたんだ?!ちょっと乗り遅れた^^;
人間ってすごいね。
最低なことをするのも人間だけど
最高のことをするのも人間なんよね
温かいよ。これだから人間は嫌いになれない。
2006/11/14 11:23 AM by ま〜ぼう!
泣いてしまいました。
私もヤングな生意気がきんちょに目の前で財布を盗られ、途方にくれて泣きだしてしまいました。そこにジョギング中のおじさんがやってきて事情を話したら、財布に入ってたお金の半分をそっとくれました。その後警察を呼んでくれて世話やいてくれたよ・・・、ありがとうの気持ちでいっぱいです。
あの時の汗くさいしわしわお札は忘れられないです。
2006/11/12 5:40 PM by 電光石火
素晴らしい話だね!情景が浮かんだよ。
小説のようだね

中国いったときに、道を尋ねたおまわりさんが、好意でパトカーで送ってくれて、ご飯までおごってくれたことを思い出した。
中国人ってなんてツンツンした人達だろうと思っていた印象が一変した。
2006/11/12 1:06 PM by nhk
俺もあった、同じ事が!
俺の場合は、運転手が良い人ということと、
乗客が他にいなかったのもあって、
“じゃ払わなくていいから乗りな。”
って言ってくれた。そんなラッキーな事があった。
2006/11/12 2:26 AM by gutch
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