一時間に一本あるかないかのバスがやってくる。
田舎の停留所は寒いだけで 何もない。
運転手は遅れていることなんて 一向に気にしてない様子。
運賃は3ドル。僕は運の悪いことに20ドル札しか細かいのがなかった。
「すみませんが、お釣りありますか?」
「ないよ。その辺で両替してきな。」
「向こう二、三マイルは、お店なんかないし 第一、待っててくれないでしょ」
「そんなこと、知らないよ。」
「でも、このバス逃したら、次いつくるかわからんし あーだ、こーだ」
「…」無視し始める運転手。
そこで、僕は 乗客のみんなから両替が出来る人を探し始めた。
「誰か この中で20ドルくずせる方いますか?」
すると、同じく旅行者風のおじさんが
「うん、僕もさっき使っちゃったからな、
でも、コインならあるよ。」
さらに、横に居たクールなお姉さんが
「あなた、旅行中でしょ。いくらあっても足りないんだから
20ドルはとっておきなさいよ。」
と、1ドルを差し出し、僕の20ドル札をしまわせる。
奥のおばさんも 言葉こそないけどコインをくれる。
無表情だけど、コインをポケットから探す姿は 愛嬌たっぷり。
こうして、みんなから集められた3ドルは
しわしわの1ドル札、25セント、5セントコインの寄せ集め。
この不揃いの3ドルが、僕にはとても輝いて見えました。
僕は、誇らしい気持ちで 料金を支払いました。
相変わらず、運転手は興味なさげに 合計金額だけ確かめていました。
世界には 本当にいい人と悪い人がしっかりいる。
そして きっちり両方の人に ぶちあたる。
悪いことは書いてても しょうがないので
少し 楽しかったことを書いてみました。